日誌

第1学期終業式校長講話

                            日本を語れるか?

  第1学期も今日で終了します。皆さんにとって、この4カ月はどうでしたか? 細かいところまでこだわり、丁寧に真摯に物事に向き合えましたか?是非、振り返ってみてください。いつも言っていることですが、節目、節目で自らの行動をしっかり振り返ることは皆さんの成長にとって欠かせないことです。

 この1学期の皆さんの頑張りが数字によって表されたのは、先ほど発表があった第1回の英研の結果です。今年度は準1級が15人、2級が95人も合格しました。昨年の同時期と比べて大きな飛躍です。校長として大変嬉しいです、皆さんの日々の努力が結果としてはっきり表れる検定試験。これからも果敢にチャレンジしてください。

 明日からの夏休みには「勉強合宿」「海外研修」や「部活動の合宿」なども予定通り実施します。しかし現在、新型コロナの感染者数はかなり増えています。2年生は学年閉鎖になっています。楽しみにしていた行事が中止にならないよう、一人ひとりが感染予防対策をしっかりしてください。皆さん一人ひとりの行動が各行事の実施や成功を決めるのです。慎重に行動してください。

 また7月14日には、4年後の2026年度に本校が新しい学校になることが発表されました。しかし新校のコンセプトを見ると現在の和国と大きな変化はありません。これからも今と変わらず「国際感覚や語学力を身に付けたグローバル・リーダーの育成」に努めていきます。少なくとも在校生の皆さんの和国での生活も何一つ変わることはありません。安心して学校生活を楽しんでください。

 さて今日は「日本を語れるか」について話したいと思います。

 7月8日、参議院選挙の2日前、安倍元総理大臣が演説中に銃で撃たれ死亡するという事件が起こりました。このニュースは国内だけでなく、世界を駆け巡り、世界中の人々に衝撃を与えました。実際にカナダやアメリカ、オーストラリアにいる私の知り合いからも「ショックだ、どうして日本でこんなことが起きるのだ?」といったメッセージが届きました。

 今回の安倍元総理の死亡が世界中にショックを与えたのには2つの理由があると思います。1つ目は、憲政史上最も長く総理を務め、日本の国際社会での地位を高めた、海外でも有名な総理大臣であったこと。260の国、地域、機関から1700以上の弔意が届いたという事実は彼の国際的評価の高さを物語っています。

 もう一つの理由は、「日本は最も安全な国である」と認識が世界中に広まっていることです。事件後の海外のニュースや新聞を見ても、「世界で最も銃規制の厳しい日本でこんな事件が起こるのか」といった論調のものが多かったのです。「日本の安全神話は崩れた」といった見出しが世界を駆け巡りました。

 私はそこでふと思ったことがあります。「自分は日本の銃規制について、外国人に説明するほどしっかりとした知識があっただろうか。」ということです。恥ずかしながら私自身も答えはノーでした。確かに日本で銃を持っている人を見たことないけど、法律的な十分な知識はありませんでした。

 また別の話題ですが、現在アメリカでは人工妊娠中絶の問題で多く揺れています。それは6月24日、アメリカの連邦最高裁判所が「合衆国憲法は中絶する権利を与えていない」として「中絶は合衆国憲法で認められた女性の権利」だとした49年前の有名な Roe vs Wade裁判の判決を覆しました。そして、中絶に関する判断を各州に委ねたのです。これは、アメリカ社会のとってものすごい衝撃であり、私も今後のアメリカの社会に不安を感じました。

 この結果、保守的な州では中絶が禁止され、一方リベラルな州では中絶が合法であると大混乱になっています。このことはアメリカだけでなく多くの国に影響を与えています。

 では、日本の人工妊娠中絶はどうなっているのでしょう。法律的には認められているのでしょうか。今、人に説明できるだけの知識を持っていますか。

 このように、我々に身近な社会制度、法律について、以外と知らないものです。あまり意識をしていないことが多いのかもしれません。しかし外国人からこのようなことを聞かれ、答えられないのは恥ずかしいことです。知的レベルを疑われます。

 歌舞伎や落語などの日本の伝統芸能や、アニメ、漫画などについては趣味の領域ですから「あまりよく知りません」で通用するかもしれません。しかし自分が生きている社会の制度や法律については、「知りません」では通用しません。

 日本では、タトゥー(入れ墨)の施術は医療行為で医師免許が必要なのか?日本では、なぜこれまで離婚した夫婦の親権は世界では普通の「共同親権」ではなく「単独親権」だったのか。答えられますか?

 グローバル・リーダーを目指すみなさんには、是非、このような日本の社会の制度、法律について、常に気を付け他人に説明できるような知識を持っていてほしいと思います。

 学校でもディベートの授業などでこのような社会制度や法律のことを学び議論することもあると思います。しかしそれだけでは不十分です。常に日々のニュースに関心を持ち、このニュースの背景にある制度や法律はどうなっているのだろうと疑問を持ち、自ら探求する姿勢を持ち、人に説明できる力を養ってください。

 明日から約40日の長い夏休みが始まります。コロナ感染や事故に気を付けて、常に探求心を持って多くの事にチャレンジし、充実した日々を過ごしてください。

 9月1日、元気に登校してください。