第2学期終業式校長講話
一隅を照らす善行を
第2学期も今日で終了します。皆さんにとってこの4カ月はどうでしたか? 細部にこだわり丁寧に真摯に物事に向き合えましたか?是非、振り返ってみてください。特に成績で自分の納得のいく結果が得られなかった人は、何が悪かったかしっかり把握し、3学期に向けて準備をしてください。いつも言っていることですが、節目、節目で自らの行動をしっかり振り返ることは皆さんの成長にとって欠かせないことです。
今、多くの生徒が表彰をされました。和国生が様々な場面で頑張っている証です。こうやって日々、自分が取り組んでいることに全力を尽くし、成果をあげている生徒がたくさんいることに校長として本当にうれしく思います。
しかし、ひとたび世界に目を向けると、そこには紛争と分断が満ち溢れ、気持ちが暗くなってしまいます。イスラエルとハマスとの戦争は激しさを増しています。ガザ地区ではすでに20,000人近くのパレスチナ人が殺されていますが、イスラエルは人質の開放とハマスのせん滅が達成するまで戦いをやめるつもりはなさそうです。日々、子どもたちが血を流し傷つき、命を失っていく姿をテレビで見ると胸が張り裂ける思いです。
また、ロシアのウクライナへの侵略は終わりが見えません。夏から始まったウクライナの反転攻勢も思ったようにうまくいかず、ウクライナを支えていた国々も支援に疲れてきています。特にこれまでの最大の支援国であったアメリカも国内政治の混乱で支援が滞ってしまいそうです。軍事力に勝るロシアは、このまま持久戦に持っていこうとしており、もしかするとこの戦争は2年どころか3年以上続くかもしれないと専門家は言っています。
そして国内では政治と金の問題で政権が大きく揺れています。君たち高校生からすれば、大人たちはいったい何をやっているのだろう。私たちの未来を壊すつもりか、もっと世の中のために真面目にやれ、と思っているかもしれません。私も大人の一人として若い皆さんには申し訳なく、恥ずかしく思います。
しかし、そういう世界の現状をただ憂いたり、大人を恨んでも仕方ありません。是非、皆さんのような若い人たちには 地に足をつけて日々の生活で自分の身の回りで少しでも世の中がよくなるような、小さな善行を実践するよう努めてほしいと思います。
思い起すと7月11日に和光第二中学校付近で、3年生数名が具合の悪い高齢者に対し親切に適切な救護してくれて終業式で表彰しました。また9月のモロッコ中部での大地震の被災に対して国際理解委員会の生徒たちが10月19日に校内で募金活動を行いました。その結果、約74,000円が集まり11月14日に国際理解委員代表がモロッコ大使館に届けました。そしてなんと、そのお礼に3月にモロッコ大使館の文化参事官が和国を訪問し出張講義をしてくれることになりました。素敵な縁がまた増えました。
そして、12月12日の献血では予想以上の多くの生徒が希望してくれて、締め切り前に定員に達してしまい、お断りすることになったと担当の先生はうれしい悲鳴をあげていました。私もそれを聞いてとても嬉しくなりました。
12月18日の読売新聞に次のような投書がありました。投書をした人がある日、地元の海水浴場を散歩していると若い男女3人が車から降りて海岸へ向かう姿を見かけたそうです。何だろうと思って様子を見ていると、海岸のごみ拾いを始めたそうです。それぞれが大きな袋を持って、広い砂浜に無数に落ちている漂流物などのごみを一つずつ拾っている。袋いっぱいにごみを集めると自分たちの車に積み込んでいた。着ているシャツからサーファー仲間であるようだが、投稿者はとても感動したと書いてありました。何かの清掃活動のイベントでもないのに人知れず自らごみ拾いをする若者に投稿した人は感動したのだと思います。
このような日々の生活の中での小さな善行は、きっとここにいる多くの皆さんが人知れずやっていると思います。家庭の中で親に言われなくても、例えばごみを出す、皿洗いをするなども立派な善行だと思います。そんなことから始めてほしいと思っています。
和国はご存じのとおり教育理念に「国際社会で必要とされるグローバルリーダーの育成」を掲げています。天台宗の開祖・最澄は、「一隅を照らす、これ則ち国宝なり」という言葉を残しました。この言葉は、「自分のいる場所や立場で精一杯努力し、周囲を明るく照らすことができる人こそが何物にも代えがたい国の宝である。」という意味です。
アフガニスタンで井戸を掘り、用水路を作り続けた医師の中村哲さんが好きな言葉であり、彼も「自分が今いる場所で、自分にできることをいっしょうけんめいやりましょう」という言葉を残しています。
誰もが注目する表舞台だけがリーダーの活躍の場ではなく、世界中のどこかで今、自分のいる場所を照らしていく。それこそが真のグローバルリーダーであり世界の宝であると私は思うのです。
最後に、もうすぐクリスマスです。クリスマスは隣にいる人を愛する日です。隣にいる人、家族、友人に優しい気持ちで接してほしいと思います。ではよいクリスマス、年末年始を過ごしてください。1月9日、元気に登校してください。